今日は、アンティークジュエリーのご紹介ではなく

ヴィンテージウィスキーでもなく

他の美術品でも「美の共有」を

させて頂きたいと思います♪

絵の世界も「感性」を高めてくれる

世界に共通する「美」を分かち合える分野だと

私は思っています

私のジュエリーコレクションにご興味を持たれる方の中には

もしかすると、同じ絵画にも「ハッ」とする

何かを感じて頂けるのではないかと思いまして

今後ジュエリー紹介と共に絵画などの

他の美術品も時間の許す限り、頑張らせて頂きます♪

その美術品の部の第一弾に選ばれたのは

馬好きな私のオススメ

Andre Brasilier浜辺の乗馬

個人的にワインじゃなくて、ヴィンテージウィスキーをお供に

この曲を聴きながらご覧くださいませ

それでは、ご説明です

薫風吹き渡る皐月に巡り会った美しい絵画のお話♪


風がなびく青空のもと、颯爽とビーチを駆け抜ける5頭の馬。

突き抜けるような日差しを受けて柔らかなピンク色を帯びた

イエローオークルの砂地が光輝いています。

ブルーとイエロー、対比する補色同士で画面を構成することで

ブラジリエのパレットを代表する色の一つである

明るく透明感のあるブルーが

ひときわ鮮やかに煌めきます。


あたかも自然のなす「流れ」を体を通して描き出されたような

空高く渦巻く大気の流れや緩やかに蛇行する水の流れを

感じたままに最低限の筆致によって

巧みに描き分けています。


近づいてよく見るとキャンバス地が

透けて見えるほど薄塗りであることがわかります

色をあれころと塗り重ねない事によって

色彩の輝きを濁らせずに

画家の心に浮かぶうたかたの風景を

フレッシュなままに表現されているように思います


砂地部分を表現した色のチョイスはお見事!

冒頭であえて「イエローオークル」と書きましたが

地中海で採れるピンク系のサンゴのような

”エンジェルスキン”を思い起こさせる

柔和でとっても優しい繊細な色合いです

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現代フランス画壇を代表する画家の一人であるアンドレ・ブラジリエ。

女性(モデルは奥様)や音楽と共に“馬”は生涯にわたるテーマの一つとして度々画題に登場します。

ブラジリエにとっての馬は“生命の輝き、ダイナミズム”の象徴だそうです。

余談ですが、私も幼い頃から”馬”が大好きで

馬を見ると自分もついつい背筋をまっすぐにして

”誇り高く生きよう”と思うんです

ブラジリエの絵の馬を見ても

同じように感じました

「聡明で誇り高い馬」

実は、同じく日本の有名な画家が描いた

”馬”からも同じように感じたんです。

ブラジリエ『川面に映る馬』

透明感のあるブルーやグリーンの画面に伸びやかに描かれた

ブラジリエの馬と日本画の東山魁夷画伯の『白い馬』との共通点を

見出す方もいらっしゃるのではないでしょうか。

東山魁夷『緑響く』

実は、この二人ブラジリエと東山魁夷は

実際に親交があり

東山は『白い馬の見える風景』のシリーズを描いた

数年後(1977年)に壁画製作中の唐招提寺に

ブラジリエを招いているんです。

二人の出会いは・・・1969年♪

京洛4季(川端安成に美しい日本を書き留めて欲しいとの要請に東山が応えて京都の4季を描いたもの)

の版画製作にパリのムルロウ工房で製作をしていた

東山に当時ブリアンションの門下で

逸材の噂の高いブラジリエがルムロウに紹介され

意気投合したブラジリエと東山が

その後食事やパーティーを通して親交を深めたそうです。

人種の違いなんて”芸術”を目の前にすると

単なる配色の違いに過ぎない気すらしてきますよね。

私は、彼らのように

”美術”を通して分け隔てなく

感動し、共感し、共有する

世界中の全ての人とは言わないけれど

多くの人がこういう風にできたら幸せだな〜って感じます

だからこそ、私も世界中の人々に自分が”美”を感じる

アンティークジュエリーや美術品を

ご紹介していきたいと思ってます♡

若き日にドイツに留学しヨーロッパの文化に

精通した東山とブラジリエでは

日本画、西洋画の粋を超えた画家としての魂で

響きあう部分があったのかもしれませんね。

それまで、ほぼ風景のみを描いていた

東山の絵の中に突如白い馬が

登場したのは1972年。

東山自身は白い馬の登場について

”心の祈り”とのみ述べて

詳細を語ってはいません

しかしながら、東山がなぜ”心の祈り”と述べているのか

とてもわかる気がします

だからこそ、私もこの東山の描いた

白い馬に何か惹かれる気がします

東山は、どのような思いだったのか・・・

それは、人によって感じ方が異なるでしょう

皆様は、どう感じましたか?

なんにせよ、友人であるブラジリエの馬のモチーフが

東山にインスピレーションを与えたことは

想像に難くありません。


特に注目したいのが一頭だけ深い濃紺で描かれた

右端の馬。

この青の色には紺色の顔料を焼いて

独自の深い青を追求した東山の影響が

強く感じられます


ダイナミックに様式化された

うねる水の流れの表現には

日本画の※琳派の影響が
(※桃山時代後期に興り近代まで活躍した、同傾向の表現手法を用いる造形芸術上の流派)

はっきりと見受けられます

二人の出会いの後に描かれた絵には

お互いを尊敬しあうからこそ

お互いに感化された技術や心が行き来していて

より高みを目指した二人の画家の友情が

感じられて、二人の仲を知っていると

この絵は更に面白みを感じますし

より温かさも感じられます

更に、国の異なる二人が描く馬を

例えるならば

東山の白い馬が風景の中で美しい瞬間を抽出し

理想化し、永遠に結晶化させた

”静”の美

ブラジリエの馬は大気の揺らぎや水の流れ

5頭の馬の蹄が奏でる力強く優しい馬の生命の輝きが

リアルに伝わってくる

”動”の美

まさに”和”と”洋”を表しているようですよね

更に、絵を納めたフレームも完璧にマッチングしています★

熟練の日本の職人の手によって

経年による虫食い穴や金箔のかすれまでも

リアルに再現したアンティーク加工のしっとりと

重厚感のある額が絵の品格をより一層高めています

なかなか写真では上手く撮れなかったのですが

丈夫の各部分にあしらわれたアラベスク模様が
(肉眼でもうっすらと確認できるくらいの線で描かれています)

シンプルな画面構成の絵にさりげなく華を添えています

日本のマーケットに流通しているブラジリエ作品は

そのほとんどがリトグラフ(版画)で

この直筆の油彩画とは希少性が全く異なります

また、欧米のマーケットでは日本の家との違いから

広さのある欧米の家には30号以上の大作が主流で

大手オークションで1000万円以上の値がつくことも珍しくありません

しかしながら、30号以上の大きな絵ですと

フィットする日本の家は限られてしまう中で

このサイズの肉筆の油彩画は画家ご自身の高齢化による

作品数の減少もあいまって

近年入手困難になっています

サイズ的にも日本の家にはぴったり!

絵的にもジャポネズムを感じさせるので

和室に飾ったりするのも素敵ですよね!

この絵は、不思議なことにじーっと見つめていると

この馬に自分が乗って浜辺を青の風をきって

走っているかのような気持ちになります♪

家の中に絵を飾ると空間が作られます

今後も素敵な絵画をご紹介致します♡

価格はお気軽にお問い合わせ下さいませ。

yumiko@thirtythree.jewelry

アンドレ・ブラジリエ 「浜辺の馬」油彩6号(1997年頃制作)

(絵の部分のみのサイズ:40.9cm×31.3cm)画面右下にサイン入り。

『アンドレ・ブラジリエ 略歴』

1929年にフランスのソミュールに生まれる
エコール・デ・ボザールで学んだのち
1952年にフロレンス・ブリュマンタル賞を受賞。
翌年ローマ賞絵画部門優勝。
60年代以降、世界各地で展覧会を開催。
日本では1969年吉井画廊の個展を始めとして日動画廊、
三越他個展多数。
1969年の初めての個展では序文を東山魁夷が書いている。
2005年にはエルミタージュ美術館のギャラリーで回顧展が開かれた。
(同美術館で在命中に個展を開催したのはピカソとブラジリエのみ)
フランスのシュノンソー城での展覧会を依頼された最初の画家でもある。
現代のフランス画壇を代表する重鎮の一人。